こんにちは。日中はまだ秋が深まったとは言えないような暑さです。”暑さ寒さも彼岸まで”とは言いますが、もう少し辛抱していたら、秋らしくなるのかもしれません。
秋は春と違った景色を見せてくれます。”天高く馬肥える秋”と言うように、それまでの夏と違って空がとても高く感じます。雲の形も変わったり、秋に咲く花々にも春のような鮮やかさはありませんが、落ち着いた気持ちにさせてくれます。
昨日はお彼岸の入りでした。前日に母とお墓の掃除に行って来て、30分くらいかけて草取りをしてきました。その間他愛もない話をしながら草取りをしていましたが、年々母の背中が小さく見えてきて、あと何年一緒にお墓参りに行けるのだろうと思ったのでした。
お墓参りをすると、いつも在りし日の父を思い出します。仕事、仕事と本当に仕事人間の父でした。昭和31年に創業しましたが、当時は戦後復興も徐々に落ち着いてきて、日本全体が経済立国を目指してがむしゃらに働いていた時期だと思います。とは言え、近隣に同業他社が何社もあり、後発の会社として相当な苦労があったに違いありません。
苦労話は子供の頃からよく聞かされておりました。子供の頃母にかまってもらおうとたまに事務所に行きましたが、「セールス」という経済誌とか、松下幸之助が書いた本などがたくさんあったことを記憶しています。おとなしく、人前に出ることが嫌だった父が、なんとか克服するためにいろいろ勉強していたんだと思います。
真面目だけが取り柄でしたから、その性格を理解してもらうために何度も何度も足しげく通ったのだと思います。
人間は情に弱いものです。断られても、断られてもめげずに何度も通う父の姿に、だんだんとお客様も父のことを信頼してくださるようになりました。そして一度買って下さったお客様にはいろんなサービスや提案をして、お客様の心理を掴んで離さないようにしてきました。それは何十年もの間、変わらずにご贔屓に注文をいただいているお客様が数多くいらっしゃることからもわかります。
まさにこのことが商売の原点だと感じました。創業から65年が経ちましたが、商売に対する父からの精神はしっかりと受け継がなければならないと思っています。
しかしながら、ネット販売が主流になりつつある今では、お客様の購買心理も変わりつつあります。個別に対面で営業するのとは違って、ネット上で売り手側の想いをお客様へ伝えることが大変難しくなってきました。そしてお客様もネット上の写真とか、お客様レビューとか送料サービスなど、実質的な商品とはあまり関係のないところで選ばれることが多くなっています。
私はこの6月から代表取締役会長に退きましたが、父から受け継いだ精神はこれからも守っていくつもりです。ネットでのお客様にも父から受け継いだ精神で、いろんな情報やいろんな企画で親切・丁寧にお客様の心にお届けしなければならないと思っています。
コロナ禍で売り上げもずいぶんと下がっていますが、こんな時期だからこそ、お客様を大切にするためのいろんな案を考えて、実行に移さなければならないと思います。
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